ダメージは蓄積する!長い夏の蓄積脱水に用心を

【こちらの内容は2025年7月1日の運動教室で取り扱ったものです。】

長い長い夏が始まりました。脱水症状や熱中症と聞くと、急に現れる症状と捉えがちですが、蓄積型の脱水や熱中症もあることをご存じですか?知らず知らずのうちにダメージは蓄積されて身体に悪影響を与えてしまいます。そのダメージは夏が終わっても身体に残り続けることもあるので注意が必要です。

蓄積脱水って?

蓄積脱水とは、体内の水分が少しずつ失われ、長期間にわたって慢性的な脱水状態になることを指します。急性の脱水とは異なり、すぐには症状が現れないため、見逃されがちです。高齢者や慢性的な疾患を抱える方、または日常的に水分補給が不足している方に多く見られます。

脱水で影響を受けやすい臓器

脱水症状によって特に影響が出やすい臓器は、脳、消化器(胃や腸)、筋肉、そして腎臓です。これらの臓器は水分を多く必要とするため、脱水によって機能が低下しやすいです。

脱水で影響を受けやすい臓器①「脳」

脱水は脳の血流を低下させ、思考力の低下、集中力や記憶力の低下、めまい、頭痛などの症状を引き起こす可能性があります。
さらに脱水が認知症の症状を悪化させることがあります。脱水は、意識障害や思考力の低下を引き起こし、認知症の症状を悪化させる可能性があります。

他にも注意をしておきたいことが
認知症の方は脱水になりやすい:
認知症の方は、喉の渇きを感じにくかったり、水分摂取の意欲が低下したりするため、脱水になりやすい傾向があります。
せん妄との関連:
脱水は、せん妄という一時的な意識障害を引き起こすことがあり、認知症の症状と似ているため、見分けがつきにくい場合があります。

脱水で影響を受けやすい臓器②「胃腸」

胃や腸の血流が低下すると、消化機能が低下し、食欲不振、吐き気、便秘、腹痛などの症状が現れることがあります。また、脱水によって胃液の分泌が増加し、胃の刺激が強くなることも吐き気を引き起こす原因となります。

慢性的な脱水症状は間接的に腸の疾患リスクを高める恐れがある:
慢性的な脱水症状が直接的に大腸ポリープのリスクを高めるという直接的な因果関係は、現在のところ明確には示されていません。しかし、脱水症状は便秘を引き起こし、便秘は間接的に大腸ポリープのリスクを高める可能性があります。また、脱水状態が続くと、大腸の蠕動運動が低下し、便が腸内に長く留まることで、大腸の粘膜が刺激されやすくなり、ポリープ発生のリスクを増加させる可能性も考えられます。

脱水と胃液の分泌:
脱水状態になると、胃液の分泌が増加することがあります。これは、体内の水分バランスを保つために、胃がより多くの消化液を分泌しようとするためです。しかし、胃液の分泌が増加すると、胃の粘膜への刺激が強くなり、胃潰瘍のリスクを高める可能性があります。

脱水で影響を受けやすい臓器③「筋肉」

筋肉は水分を多く含み、脱水によって筋肉への血流が低下すると、筋肉痛、筋力低下、倦怠感、こむら返りなどの症状が現れることがあります

筋肉の機能低下:
筋肉は水分を多く含んでおり、適切な水分補給は筋肉の代謝をスムーズにし、筋力維持に不可欠です。脱水状態になると、筋肉の収縮に必要な電解質バランスが崩れ、筋肉痛やこむら返り(筋肉の痙攣)が起こりやすくなります。

筋肉量の減少:
筋肉を構成するタンパク質は水分によって運ばれるため、水分不足はタンパク質の合成を阻害し、筋肉量の減少につながることがあります。特に高齢者は、加齢に伴い筋肉量が減少しやすいため、脱水による影響を受けやすい傾向があります。

熱中症のリスク増加:
脱水状態は体温調節機能を低下させ、熱中症のリスクを高めます。熱中症は筋肉の機能低下や痙攣を引き起こすため、脱水と熱中症は筋肉の健康にとって悪循環となる可能性があります。

脱水で影響を受けやすい臓器④「腎臓」

脱水によって腎臓への血流が低下すると、老廃物がうまく排出されず、腎機能が低下する可能性があります。ひどい脱水が続くと急性腎不全を引き起こすこともあります。

腎臓への血流低下:
脱水状態になると、体内の水分が不足し、血液の量も減少します。これにより、腎臓に十分な血液が流れなくなり、腎臓の機能が低下する可能性があります。

腎臓の機能低下:
腎臓は血液をろ過して尿を作る際に、多くの酸素を消費するため、脱水状態になると酸素不足になりやすい臓器です。血流が低下すると、酸素供給も減少し、腎臓の組織が損傷を受ける可能性があります。

急性腎不全のリスク:
脱水が進行すると、急性腎不全を引き起こす可能性があります。急性腎不全は、腎臓の機能が急激に低下する状態であり、適切な処置をしないと慢性腎不全に移行する可能性があります。

慢性腎臓病のリスク:
慢性的な脱水状態が続くと、腎臓への負担が増加し、慢性腎臓病のリスクを高める可能性があります。

そりゃあ~だるくもなるよね・・・
脱水がこんなに色々な臓器に影響をあたえているなんて知らなかったな~

蓄積脱水にならないようにこまめな水分補給を!

1日に1.5~2リットルの水を飲むことが大切です。
正しい水分補給は、こまめに、のどが渇く前に、適切な量を飲むことが大切です。特に、起床時、運動前後、入浴前後、就寝前は意識的に水分を補給しましょう。水分補給には、水やお茶、イオン飲料などが適しています。一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯程度を数回に分けて飲むのがおすすめです。

水分補給のポイント

こまめに水分補給:
1時間から2時間おきにコップ1杯程度(200ml)を目安に水分を補給しましょう。
のどの渇きを感じる前に:
のどの渇きは脱水が始まっているサインです。こまめに水分補給をすることで、脱水を防ぎましょう。
適切な量を飲む:
一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯程度を数回に分けて飲むのがおすすめです。

タイミングを意識する:
起床時:寝ている間に失われた水分を補給しましょう。
運動前後:運動で失われる水分を補給しましょう。
入浴前後:入浴で失われる水分を補給しましょう。
就寝前:寝ている間の水分不足に備えましょう。

飲み物の種類:水、お茶、イオン飲料などがおすすめです。
イオン飲料:
運動時や発汗時など、大量に汗をかく場合は、ナトリウムや糖分を含んだイオン飲料が効果的です。
カフェインを含む飲料:
尿の量を増やし、体内の水分を排泄してしまうため、水分補給には適していません。
水中毒に注意:
短時間に大量の水を飲むと、水中毒になる可能性があります。1日に3リットル以上の水分を摂取したり、短時間に1リットル以上の水を飲むことは避けましょう。

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