日本人で肩こりや腰痛、膝痛など身体の不調を抱えている人はたくさんいらっしゃいます。最近ではスマホの普及や運動不足などでその割合も年々増加傾向にあり、もはや国民病といってもいいくらいに多くなっています。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、日本人の有訴者率(自覚症状を訴える人の割合)の男性:2位・女性:1位は肩こりであることが分かっています。
肩こり症状は男性で1000人中57.2人、女性で1000人中113.8人が訴えています。これを人口比で計算してみると、国民の約1700万人(東京都の人口が約1400万人)が肩こりを訴えていることになります。
では、なぜこのような「痛み」や「凝り」が起こるのでしょうか?
痛みが生じるメカニズム

人間には身体を守るために身体の不調を知らせるための機能がある。それが体内環境を一定に保つ仕組み「ホメオスタシス(恒常性)」だ。このホメオスタシスから大きく外れそうになると非常事態を知らせるために身体から信号が発せられる。それが痛み・疲労・発熱だ。
肩や腰、膝などから信号を発せられるメカニズムはこうだ。
肩や腰、膝などの特定のパーツに疲労やストレスが蓄積されると、その部分の筋肉などの軟部組織が硬くなる。すると、周囲を走る毛細血管のネットワークが圧迫されるため血流が悪くなって酸素や栄養素が十分に届かなくなり、代謝で生じた老廃物や疲労物質、痛み物質も流れて行かずに溜まる一方。こうなるとホメオスタシスが乱されるから、身体からSOS信号が発せられる。
そして、痛みを我慢して放置していると筋肉などの軟部組織は緊張してもっとガチガチになりますます血流が悪くなって痛みが強くなってしまいます。
凝りが生まれる時なにが起きているのか?
不良姿勢や疲労、ストレスにさらされ続けると、そこには物理的な「癒着」が起こってしまう。「癒着」とは、何らかの理由で規則正しい組織内に捻じれが生じて動きが制限されたり隣り合う組織の一部がくっついてしまうこと。これが凝りが生まれるメカニズム。
筋肉や関節は筋膜で覆われているが、筋膜同士で癒着が起こると、動きも姿勢も不自然になって凝りや痛みがより強くなっていく。さらに可動域にも制限がかかり知らず知らずのうちに身体が動かなくなっていく。
筋肉や筋膜は共にタンパク質から出来ているが、その性質は大きく違う。筋肉の主成分はアクチンとミオシンという伸縮性の高いタンパク質。筋膜の主成分はコラーゲンとエラスチンという2種類の繊維状のタンパク質がらなっている。
筋肉に硬いシコリのようなものが生じると、抑えたり摘まんだりすると強い痛みが起こり、離れた場所にも痛み(関連痛)が広がるポイントが現れます。これをトリガーポイントといいます。癒着やトリガーポイントはレントゲンやMRIでは判断しにくく、原因不明の痛みとして知られていますがこれが、コリや慢性痛が解消しにくく、長年悩ませられる人が増えている一因になっているんです。
心因性のストレスでの痛みや凝りが増えている

仕事や学校、家事、育児など日々の生活の中でうまく行かないことが生じてストレスが増えると、肩こりや腰痛などがより強く感じられるようになってしまう。その理由の1つにあげられるのが脳内で分泌される鎮静物質「オピオイド」の不足が挙げられる。
どういうことか?痛みは身体を守るための防御システムとして働いているが、痛みがずっと続くと身体が免疫を下げるなどのネガティブ作用を発揮してしまう。そこで身体には痛みを発する仕組みと同時に痛みを適度に抑えるシステムが備わる。その主役が、脳内で分泌される鎮静物質のオピオイドやエンドルフィンやエンケファリンなどだ。
痛みが神経を通じて脳に伝わるとドーパミンが分泌されてオピオイドが作られる。ストレス化では筋肉が緊張して血流不足が生じ、これらの一連の流れがスムーズに行われない状況になってしまう。そのために、痛みをおさえにくくなり慢性の凝りや痛みがより強く感じられるようになってしまう。
ストレスを解消し身体を守るために、しっかり睡眠時間を確保したり休む。ストレスの原因から離れるなどの対策も必要になってくる。
予防と治療と対策

マッサージや整体、ストレッチを活用しよう。
凝りや痛みを生じている筋肉や筋膜はところどころで癒着したり硬くなっている。これを解消するにはマッサージや、整体、ストレッチなどで癒着を物理的にはがし、硬くなっている部分をほぐすことができる。
凝りや痛みを発する筋肉や筋膜には微細な損傷がある。そこには免疫細胞が集まって損傷の修復を行っている。裂けた傷口を繕うようなイメージだ。その繕い方が下手だと歪みやねじれが生じるし、それが新たな凝りや痛みのもとになることがあります。マッサージや整体は新しくできた組織を元の組織にフィットするように整えたりなじませたりする効果もあるようです。
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